CaseStudy:10 東京から那珂湊へ移住して創作活動
人と人とがつながる作品づくりを目指して

美術家 臼田 那智
東京→茨城 Iターン 2017年

「アートをとおして那珂湊に出会い、地元の人々と交流」

東京を拠点に美術家として活躍していた臼田那智さんが、移住先となる「那珂湊地区」のことを知ったのは、茨城県ひたちなか市の那珂湊地区にある保育園の倉庫の壁画制作を依頼されたことがきっかけだった。

その後、臼田さんは、「MMM(みなとメディアミュージアム)」というアート活動にも参加。MMMは、茨城県ひたちなか市を走る「ひたちなか海浜鉄道湊線」の沿線を舞台に開催する現代アートプロジェクトで、全国各地のアーティストが毎年参加し、創作活動を行っている。

臼田さんの作品は、ひとことで言うと立体のアートプロジェクトだ。作品をアトリエの中で作って終了、というわけではない。例えば、MMMで展示した子ども屋台(地元のお祭り「八朔祭り」の屋台をモチーフにした作品)の場合、完成後は一緒に引いて楽しむことも視野に入れる。そういった一連の活動が制作過程も含めてひとつの作品になっているため、臼田さんの作品には多くの人が関わる。こうしたアート活動をとおして、多くの人がつながっていき、予定調和でない結果が生まれると臼田さんは話す。

また、アート作品の材料となる木材を集める段階では、地元の人たちに協力をあおぐこともあった臼田さん。まったく知らない土地にもかかわらず、大勢の人たちが協力してくれたことから「この出会いを大切にしたい」という思いが芽生えたという。

「活動拠点を移し、那珂湊ライフを満喫」

臼田さんが那珂湊へ移住したのは2017年5月。作品づくりのために東京から何度も通い、地元の人と交流していく中で出会った人たちとのつながりを大切にしたい気持ちが芽生え、本格的に那珂湊に移住することを決めた。

また、創作活動のために住居とは別に築50年以上の古民家をアトリエとして借りている臼田さん。持ち主である大家さんの「人と人とがつながる場所として使ってほしい」という考えと、「人と人とがつながるような作品づくりがしたい」という臼田さんの考えが一致し、好条件で古民家を借りることができたそうだ。

臼田さんの好きな場所は「海」だと言う。那珂湊は海沿いの街で、海水浴場として有名な阿字ヶ浦や大洗も近く、周辺には海の景色を楽しめるビュースポットも多い。お気に入りの地元グルメは「みなとパン」のアンパンや、「伊勢増」の干しいもだそうだ。取材した時点では移住して半年足らずの頃だったが、地元の人たちとの交流も含めて那珂湊ライフを満喫している様子だった。
今後の活動予定だが、「子ども屋台」を10年先を見据えながら今後も継続して制作し続けたいとのこと。「それが地元の祭りである八朔祭りの盛り上がりにつながってくれれば」と臼田さんは話す。臼田さんと那珂湊との距離は、今後も益々近くなっていくのだろう。

アトリエとして借りている古民家の前で大家さんと談笑。一緒に写り込んでいる原付バイクは那珂湊へ移住してから購入した。移動には欠かせない存在。

大学生を中心とするMMMのメンバーと作品が展示されている「百華蔵」前で。アートをきっかけにたくさんの人がつながっていく。

MMMで展示されていた臼田さんの作品「プラスチック プラクティス プロジェクト」。八朔祭りの屋台をモチーフにした子供屋台。

那珂湊の通り。左に見えているのがアンパンが人気の「みなとパン」。向かって2軒右隣りには自家製の干しいもなどを製造・販売する「伊勢増」がある。

臼田 那智(うすだ・なち)プロフィール

1991年長野県上田市生まれ。小学生の時に上京。2017年春頃まで東京で過ごす。武蔵野美術大学卒業後、美術家として活動。人やものとの出会いを強く意識した作品づくりが特徴。アートをとおして多くの人が交流し作品づくりにも参加、その制作過程も含めて1つの作品とするアートプロジェクトを得意とする。2016年から茨城県ひたちなか市で行われているMMM(みなとメディアミュージアム)に参加。2017年5月から茨城県ひたちなか市の那珂湊地区に移住、活動拠点とする。

PAGE TOP