CaseStudy:7 "まちなかワイナリー"で街を元気に!
水戸へUターンして取り組む地元産ワインづくり

Domaine MITO株式会社 代表取締役 宮本 紘太郎
東京→茨城 Uターン 2008年

「消費者参加型でワインを製造する”まちなかワイナリー”という考え方」

「まちなかワイナリー」という言葉を聞いたことがあるだろうか? ワインは農村部で醸造を行い、それを都市部で消費するというのが一般的だが、「まちなかワイナリー」は都市部で醸造を行い、完成したワインをその土地で消費するというもの。大切なのは醸造体験などを行い、消費者参加型で製造を行う点。これにより生産者と消費者がワインを介してひとつにつながることができる。その先には、ワインで街を元気にしていこうという目論みがある。

2015年に開業した「Domaine MITO株式会社」(以下、ドメーヌ水戸)も、そんな「まちなかワイナリー」を行う会社のひとつだ。代表取締役を務めるのは水戸市内で酒類の販売を行う宮本紘太郎さん。2008年12月、実家の「有限会社宮本酒店」を継ぐため、東京からUターンしてきた。宮本さんは東京農業大学で醸造学を学び、その後は輸入ワインをあつかう商社へ就職。ワイン全般について造詣が深く、日本ソムリエ協会が認定するシニアワインアドバイザーの資格も持っている。そんな彼がドメーヌ水戸の代表取締役に就任したのは、自然の成り行きのようにも思える。「ただワインを造って売るということではなく、水戸の街を元気にしていきたいという気持ちが根底にあります」と宮本さん。将来的にはワインが水戸の魅力のひとつになれば、と話してくれた。

「泉町会館の中にあるワイナリー、醸造体験も開催」

「ドメーヌ水戸」の誕生は、地元の商店会「泉町二丁目商店街振興組合」が主催するイベント「ファーマーズ・マーケット@水戸」がきっかけだ。地元住民に新鮮野菜を提供することを目的にスタートしたこのイベントは、15年以上前から開催されていた。商店会の中核施設である「泉町会館」がリニューアルされたのを機に、このイベントの新たな展開が模索された。その中で、宮本さんの経歴を知る人たちから「ワインを造ってみては?」というアイデアが出た。そして2015年10月、主旨に賛同した有志によりそのアイデアが実現され、「ドメーヌ水戸」が誕生した。

「ドメーヌ水戸」のワイナリーがあるのは、この「泉町会館」の一角だ。意外に思うかもしれないが、ワインを醸造するためのワイナリーの広さは、原料のブドウを絞れる場所と、絞ったブドウの汁を保管して発酵できる場所があれば充分。生産量を求めなければ、建物の一角でもワイナリーを開設できるのだ。ここで醸造体験も行われている。

「ひとくちオーナーと仲間が支える水戸のワインをお試しあれ!」

原料であるブドウは、水戸市内の鯉淵学園農業栄養専門学校をはじめ、城里町や茨城町など、近隣の町の農家によって生産されている。農業の盛んな土地だが、ワイン醸造用のブドウは生産したことが無い場所であるため、生産地としての評価はまだ確立していないが、いつか「水戸ワイン」や「茨城ワイン」がブランド産地になる日を期待したい。

ドメーヌ水戸には「ひとくちオーナー」という制度がある。これに申し込めば、ブドウの栽培、収穫、醸造体験に参加ができ、完成したワイン2本をいただけるというものだ。自ら製造を手掛けたワインの味は格別らしい。興味を持たれた人は参加してみるといいだろう、ドメーヌ水戸の協力者である水戸市内4軒の飲食店(レストラン マロン、レストラン ル・ポワロン、L’IVRESSE−イヴレス−、Kirsch−キルシュ−)ではドメーヌ水戸のグラスワインが500円で飲めるので、まずはそちらを試してみるのもいい。気取らずに飲めるフレッシュな赤ワインなので、仲間とワイワイしながら楽しんでほしい。

ドメーヌ水戸のワインがセットされたレストランマロン(水戸市)の店内の様子。グラスワインは1杯500円で飲めるのでぜひお試しを!

産地が明示されたドメーヌ水戸のワイン。現在、赤とロゼの2種類がある。白ワインは使うブドウが違うため、今後開発予定とのこと。

トマトやベビーリーフなど、茨城の食材をふんだんに使ったレストランマロン自慢のイタリアンピッツァ。ドメーヌ水戸のワインと合わせればその相性はバッチリ!

ドメーヌ水戸の代表取締役・宮本紘太郎さんと、その協力者であり同社の取締役も務めるレストランマロンのオーナーシェフ大塚巌さん。

宮本 紘太郎(みやもと・こうたろう)プロフィール

1976年茨城県水戸市生まれ。地元の小中高校を卒業後、東京農業大学で醸造学を学ぶ。卒業後、輸入ワインをあつかう商社へ就職。在職中、ワインについて多くの知識を得る。2008年12月、家業である「有限会社宮本酒店」を継ぐため水戸へUターン。酒類の販売を行う。2015年10月、ワインの製造・販売を行う「Domaine MITO株式会社」を設立。代表取締役に就任する。2016年11月、同社で製造したワインを正式リリース。

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