CaseStudy:5 大企業のサラリーマンからUターンで地元・茨城に就農
出荷の時はドライブ気分で城里町の自然を満喫!

農らく路(のらくろ) 代表 高萩 和彦
東京→茨城 Uターン 2012年

「大企業のサラリーマンから専業農家を志すまで」

高萩和彦さんは大学の法学部を卒業後、大手鉄鋼会社へ就職。地元を離れサラリーマンとして働き始めた。前途洋々の社会人スタートだったが、何年か働くうちに2年ごとに会社都合で転勤を繰り返す大企業サラリーマンの生活スタイルに疑問を持つようになる。最初は生産管理の仕事をしていたが、転勤のたびに職種も変わる。苦手だった経理の仕事をするようになった時に、本格的に転職を考えるようになった。

自分で仕事をコントロールしたいと思った。そのためには自分で仕事を作るしかない、つまり経営者になりたいと考えるようになった。模索する中、大阪で行われた就農希望者向けのイベント「新・農業人フェア」に参加した。東京での勤務も経験していた高萩さんだが、都心で働くよりも自然に囲まれて仕事ができるライフスタイルに憧れていた。自営で農家の道を志すことはまた、「経営者」になることでもあった。一から十まで自分の裁量でやっていけるという点も理想どおりだった。さらに地元の茨城県も就農希望者を応援してくれていて心強かった。「新・農業人フェア」に参加したことがきっかけで、専業農家になろうという決心が固まった。フェアに参加してから半年後の2009年12月、高萩さんは会社を辞めた。

「専業農家の伯父さんが城里町にいた幸運、地元茨城で就農へ」

専業農家の道を歩み始めた高萩さんにとって、母方の伯父である飯村静雄さんが茨城県城里町で専業農家を営んでいたことは大変ラッキーだった。つくば方面の農家で研修を受け、水戸市内原にある「日本農業実践学園」で農業を実践的に学んだ後、高萩さんは飯村さんのところで、働き始める。既存のやり方に縛られず、創意工夫を重ねて農業を行う飯村さんの就農スタイルは、高萩さんにとって大いに刺激になった。そして飯村さんのところで働くようになってから2年後、満を持して専業農家として念願の独立を果たすのである。

2012年3月、高萩さんは専業農家としての歩みをスタートした。飯村さんとの縁があったことで、城里町に農地と住居を借りることができた。初めて就農する人にとって最も大変なことのひとつは農地を確保することだ。借りるにしても買うにしても、田舎でそれを実現するためには人とのつながりが重要になってくる。もちろん行政には情報提供や紹介などをとおして応援してくれる体制がある。それでも土地を借りたり買ったりするには地権者との直接の交渉が必要だ。高萩さんがすんなりと農地と住居を確保できたのは、代々城里町で農業を営む親戚がいたことも幸いしたのだろう。

「自然豊かな城里町の素晴らしさ」

城里町で専業農家としての生活をスタートした高萩さんは、試行錯誤を繰り返しながらも充実した生活を送っている。現在は低農薬栽培によるアスパラガスの栽培がメイン。評判は上々で、注文が増えてきたことで生産が追いつかなくなっている。将来的には今の2倍ぐらいの量を生産していきたいそうだ。ほかに露地栽培としては無農薬によるショウガやレンコンの栽培を行っている。

城里町は川や山などの自然が豊富。出荷のついでになるが、季節ごとに表情を変える美しい景色を眺めながらのドライブが大のお気に入りだ。申し分の無い就農環境だと感じる一方で、病院などの生活インフラが充分では無いことや、交通手段も限られてしまうことなど人口の多くない農村ならではの不安もあり、自らのようにUIJターンや移住者の増加に期待していると言う。城里町には子育てや住宅に関することなど、様々な支援制度があるのでこちらも活用したいところだ。城里町で活き活きと仕事をする高萩さんの姿を目にした人が、この地に移住してくれることを大いに期待したい。

●アスパラ
「農家は自分が嫌いな野菜は作らない方がいいと思います」と高萩さん。当然アスパラガスは好きな野菜。気持ちを込めた野菜作りを信条としている。

●お気に入りの場所
自然豊かな城里町は川も山もあって、季節ごとにサクラ、新緑、紅葉ときれいな景色がいっぱい。出荷の時にドライブ気分で楽しんでいる。

●紫アスパラ
収穫は朝行う。こちらはみずみずしく甘みのある紫アスパラガス。皮をむくとあざやかな緑色が出てくる。ちなみに加熱すると紫から緑に色が変わる。

●伯父さんとのツーショット
研修を受けた城里町の専業農家・飯村静雄さんは高萩さんの母方の伯父。新たな就農者に対し「応援してあげたい」と話す。御年71歳でまだまだ現役!

●小川
畑の近くの小川ではホタルを見ることができる。自然の豊かさを身近な場所で感じられるところが城里町の大きな魅力。

高萩 和彦(たかはぎ・かずひこ)プロフィール

1980年 茨城県日立市生まれ。ひたちなか市内の小中高校を卒業後、県外の大学の法学部で学ぶ。卒業後、大手鉄鋼会社に就職する。兵庫、東京などに勤務後、29歳の時に退職。就農することを決意し、伯父である茨城県城里町の専業農家・飯村静雄さんの元で2年間研修を受ける。2012年3月、城里町で低農薬および無農薬栽培を得意とする自らの農場『農らく路』を開業。アスパラガスを中心にショウガ、レンコンなどを栽培する。

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